連載記事 飯塚悦功
第14回 日常管理(1)

1. 経営における3つの管理

今回から「マネジメントシステム」について考察したいと思います。前回まで長々と「品質マネジメントの基礎概念」についてご紹介してきました。それはそれで興味深かったかもしれませんし、“使える”考え方や手法があったかもしれませんが、それだけでは頼りない感じがします。これらの基本的考え方を具現化する業務運営システムのモデルというものがあるのなら、それを知りたいところです。とくに、専門性の高い分野において、品質マネジメントの考え方がどのように活かされ、組織運営の仕組みに組み込まれていくのか興味深いところです。ということで、今回から日本的TQC/TQMが生んだ「日常管理」「方針管理」について考察します。

1960年代半ば、日本の品質マネジメントは「管理/マネジメント」について、経営学の素人であるにもかかわらず、実世界で使える現実的な管理の方式について、試行錯誤しながら深い考察を行いました。はじめに、かなり長い間「管理項目」について議論しました。製造工程の工程管理にとどまらず、日常業務一般の管理の方法を、PDCA、標準化、プロセス管理などの考え方を基本として「日常管理」として整理しました。さらに、組織運営における方針の重要性を認識し、方針を達成するための管理の方法論を検討しました。そして1970年ごろ、「方針管理」という、奇妙な名称の優れた経営管理の方法論を生み出しました。こうして日本的品質管理は、品質を中核とする経営アプローチでありながらも、経営管理システム一般に対して重要な概念や方法論について発言するようになり、これがアメリカの品質管理、経営管理に大きな影響を与えました。

日本的品質管理は、経営管理を図表1に示すような3つに整理しました。



日常管理とは、組織の指揮命令系統を通じて実施する、業務分掌に規定された業務に関わる管理、すなわち、それぞれの部門で日常的に当然実施されなければならない業務について、その業務目的を効率的に達成するためのすべての活動の仕組みと実施に関わる管理です。

機能別管理とは、品質、コスト、納期、安全・環境などの機能(管理目的、すなわち経営要素)を軸とした部門をまたがるプロセスを全組織的な立場から管理しようとするものです。

方針管理とは、環境の変化への対応、組織のビジョン達成のために、通常の管理体制(日常管理の仕組み)の中で満足に実施することが難しいような重要課題を、組織を挙げてベクトルをあわせて確実に解決していくための管理の方法論です。

2. 日常管理

2.1 日常管理とは

日常管理の基本は、業務目的の明確化、業務プロセスの定義、業務結果の確認と適切なフィードバックです。これらを、標準化を基盤として実施します。要は、部門が果たすべき業務のPDCAを適切に回すということです。

具体的には、業務分掌を、組織全体の目的達成における役割や他部門との関係を考慮して適切に定め、業務遂行のための資源(4M:Man人、Machine設備・機器、Materialモノ・材料、Method方法)を確保し、それらの資源を使って目的を達成するプロセスを定義し、これを標準化し、標準通りの業務を実施します。

実施結果はあらかじめ定めた基準との対比において把握し、満足できない状況であるなら、応急処置は当然としてさらに再発防止を行います。またこうした管理の経験を通じて必要とあれば日常管理のレベルアップをしていきます。

2.2 日常管理の進め方

それぞれの部門において、日常的に実施すべき業務を効率的、効果的に実施していくための管理の基本は、部門が果たすべき業務のPDCAを適切に回すことです。

PDCAの各ステップでは以下のようなことをすると、連載第7回で述べました。

Plan
P1:目的、目標、ねらいの明確化
P2:目的達成のための手段・方法の決定

Do
D1:実施準備・整備
D2:(計画、指定、標準通りの)実施

Check
C1:目標達成に関わる進捗確認、処置
C2:副作用の確認、対応

Act
A1:応急処置、影響拡大防止
A2:再発防止、未然防止

日常業務の管理においては、PDCAの各ステップの上記の項目に当たることを、図表2のように実施します。



Planの①、②において実施すべき業務を確認し、その業務の目的が何であるかを明確にしますが、実はそれほど容易なことではありません。「あなたの仕事は何ですか?」という質問に対して、何を実施しているかだけでなく、何のためにそれを行っているか、その仕事の目的を明確にすることが期待されています。これを体系的に行うために「業務の機能展開」を行うことがあります。業務の目的を明確にして、必要に応じて展開し、さらにその目的達成のために必要な手段に展開します。

Planの③の管理項目とは、各部門が自部門に与えられた業務の目的を達成しているかどうかを判断し必要なアクションをとるための尺度です。管理とは目的達成のための諸活動ですが、その目的がどの程度達成されているかを把握する尺度が必要ということです。管理項目には、目的尺度と効率尺度の2種類があり得ます。目的尺度とは、業務目的をどの程度達成しているかを把握するための尺度であり、効率尺度とはその目的をどの程度の効率で実施できたかを測る尺度でする。例えば、検査業務においては、目的尺度として不適合見逃し件数、検査ミス件数などを使うでしょうが、検査をどれほどの効率で行ったかを計るために単位時間あたりの検査件数なども管理項目として使うことがあるでしょう。

Planの④のためには、フローチャート、マニュアル(規程、標準書、要領など)、帳票を明確にする必要があります。目的達成のために必要なプロセス条件の最適化を図り、この手順に従って実行できるようにします。プロセスフローチャート(業務フロー図)で、誰(どの部門)がいつ何をするか明確にすることも必要です。

これらの手順書類には、手順を実施する前に満たされていなければならない要件(たとえば、従事者の資格または必要な教育・訓練、部品・材料などが満たすべき要件、設備・機器類の保守など)についても、あらかじめ定めておき、これに従ってDoの⑤において実施の準備がなされます。

Doの⑥では、原則としてPlanの④で定められた通りに実施して満足な結果が得られるようにすることが重要です。もし、手順が適切でないために結果が思わしくないときは、実施者が勝手に手順を変えるのではなく、正しい手順を関係者で共有し、それを手順に反映した上で実施すべきです。

Checkの⑦では、③で定めた管理項目の値を定められた方法で監視・測定し、プロセスの性能レベル(目的達成度や効率など)を把握し、これをグラフや表などに記録します。そしてCheck⑧では、管理水準内にあれば、そのまま業務を続けます。目標を達成しているなら記録しなくてもよいように思えますが、傾向などデータの動きからプロセス異常の兆候が分かるかもしれませんし、データ解析を通じてプロセス改善へのヒントが得られる可能性もあります。

Actの⑨においては、当面の目的を達成するため、異常が発生したとき迅速・正確・誠実にその異常現象を除去し影響の拡大を防止します。同時に、それだけに終わらせず、固有技術、マネジメントシステムに対する異常原因の除去という再発防止のための是正処置をとります。これによって、業務目的を達成するうえでの組織の管理能力をレベルアップさせることができます。

そして、Actの⑩において、個々の管理外れへの対応だけでは不十分な事象に対応するため、重要な管理項目について、毎月(または3ヵ月、6ヵ月ごとに)、管理状況を把握し、とくに慢性的な問題について改善を推進します。

2.3 業務機能展開

日常管理体制の構築にあたって、まず明らかにしておかなければならないのは、自部門あるいは自己の業務の内容です。何となく分かっているようで、何をどこまで何のために実施するのかと改めて問われると、はたと困ってしまうことが多いものです。組織はよく組織変更を行います。そのたびに各部門、各委員会がなすべき業務を明確にすべきです。部門や委員会の名称で何となく分かったような気になりますが、何のために何を実施すればよいのか担当者が理解して実施できるようにしたいものです。

業務分掌が定められているとはいっても、例えば工場の生産現場であるとすると、「○○製品の加工・組立」などと簡単に記述されるのが普通です。これを受けて、自部門、自分が、組織全体のなかで何をすべきかを明らかにしなければなりません。これを体系的に行う方法が「業務機能展開」です。業務機能とは、その業務が果たすべき機能というくらいの意味で、業務目的と言ってもよいかもしれません。業務の目的を必要に応じて展開し、さらにその目的達成のために実施すべき事項に展開します。

業務分掌が「××を○○する」であったら、まずは「××を○○するとはすなわち何をすることか」と目的を分解・展開していき、ある適度なレベルまで展開できたら、次に「××を○○するためには何をする必要があるか」と目的達成に必要な手段に展開するのがよいでしょう。

「○○製品の加工・組立」をするとは何をすることかと展開してみると、「原材料・部品、製造する部品・製品の仕様、製造工程の仕様(製造条件などの指定)が与えられて、仕様の通りの部品・製品を、仕様通りの製造条件で、定められた量だけ、定められた時に提供すること」などと展開できます。この展開の仕方は、アウトプットのQCDSE(Q:品質、C:コスト・効率、D:量・納期・タイミング、S:安全、E:環境)の側面に注目する方法です。

さらに、例えば「仕様通りの部品・製品を仕様通りの製造条件で提供する」ためには、部品・製品仕様を理解し、その仕様を満たすために指定された製造条件が合理的であることを理解し、その製造条件を満たす製造工程を準備し、作業標準に従って製造作業を行い、指定された検査などの品質確認を行うことなどが必要であるとして、これら実施すべき事項を明らかにしていきます。

2.4 管理項目・管理指標

業務機能展開によって、果たすべき機能(業務目的)が明確にできたら、次にその達成度合いを把握するための尺度、すなわち管理項目(管理指標)を定める必要があります。管理とは「目的を効率的に達成するための諸活動」ですから、科学的・合理的な管理のためには、目的達成度合いを的確に測る尺度を設定しておく必要があるということです。

各組織における日常業務の管理のためにどのような管理項目を設定すればよいか、十分に検討しなければなりませんが、イメージをつかむために、ものづくり企業の各部門の管理項目の例を挙げておきます。

• 設計:量産立上げ時設計責任トラブル件数、量産立上げ遅延日数、設計変更件数
• 組立:検査発見組立ミス件数、組立責任市場クレーム件数、組立内発見ミス件数、直行率
• 検査:不良品見逃し件数、良品を不合格とした件数
• サービス:サービス即応率、再修理件数
• 販売:納期遵守率、発注変更率、売上高、受注高

これらの管理項目の意図を、「組立」を例にとり考察しておきます。「検査発見組立ミス件数」「組立責任市場クレーム件数」は、検査や市場において発見された、組立に責任のあるミスの件数です。組立にとって「後工程」である最終検査、出荷検査、市場において把握できる組立工程の仕事の質の反映を見ていることになります。「組立内発見ミス件数」は、同様の意味で、自工程で発見できたミスの件数で、組立工程での仕事の質を測ろうとしています。組立工程内で発見されるミスには、前工程の品質不良、例えば部品・材料の不良、ユニット不良も含まれていますので、組立でのミスとは区別して把握しなければなりません。「直行率」とは、一連の工程のいずれにおいても合格と判定され続けストレートで良品となる率のことです。途中で不良になっても修正によって最終的に良品として出荷されるものはいくらでもありますが、そうした紆余曲折なく良品になる率を測るものです。一連のプロセスを構成する単位工程の良品率を掛け合わせたようなものと考えればよく、一つでも出来の悪い単位工程があれば直行率は良くならず、組立工程の総合的な良さを表している尺度ともいえます。

目的達成度合いを知るのに、その目的達成に重大な影響を与える条件のレベルを考えることもできます。教育・訓練の効果は力量の向上で測るのが最適ですが、それが難しかったり、将来でないと分からないというようなときには、例えば教育・訓練時間、直後の理解レベルなどで把握することもあります。

管理項目としては、この例のような目的達成の度合いを測るものに加えて、「効率」を測る尺度も必要です。管理とは、効率的に目的を達成するための諸活動ですから、効率的かどうかを把握しておく必要があるということです。組立工程の場合、例えば、組立工数(ある単位組立作業に必要な時間)、工程内在庫(組立工程内に滞留している中間製品の量)、組立コストなどが考えられます。こうしたことを総合的に考えるには、アウトプットとして何が期待されているかを、QCDSE(Q:品質、C:コスト、D:量・納期、S:安全、E:環境)など様々な側面から考察するのがよいでしょう。

把握しておくべき管理項目としては、自分には直接の管理責任はありませんが関心を持つべき業務の質や効率を測る尺度もあります。このような管理項目を点検項目、点検点と呼ぶことがあります。例えば、部下や同僚が直接の責任を持つ業務の管理項目がその例です。自分に間接的責任がある、影響を受ける、管理レベルに応じて自分が業務方法を変える必要がある、などというときに必要となる管理項目です。

2.5 管理項目設定における難しさ

さて、管理項目を設定するとき、どのような尺度を使えばよいのか困ってしまうことがあります。組立工程の例を挙げるなんてずるい、単純で簡単だから、と指摘される方がいらっしゃるかもしれません。そうかもしれません。例えば、大学の先生は自分の仕事の管理項目としてどのようなものを設定しているか、なんていう意地悪な質問が来そうです。私は、まず目的を明確にすることから始めます。それが前項で考察した業務機能展開です。次に、ある一つの業務機能について、それがうまく運営されている状態とそうでない状態について例を挙げて考察し、それを管理尺度のヒントにします。例えば、「教育」なら、有用な学生を社会に輩出できているのが良い状態と考えれば、就職先(企業)のランク、就職先の受入担当者の評価、資格試験合格者数などを考えるかもしれません。重要なことは、これらの尺度だけでは、すべてを測れないことを認識することです。それを手がかりにして、管理目的が達成できているか総合的に判断する尺度、それが管理項目です。

管理項目設定の難しさについてもう少し考えてみます。そもそも目的が多様であり、ときに互いに矛盾し、しかも目的そのものが明確に定義しにくいような状況で、その達成度合いを測る尺度を決めるのはとても難しいことです。格好良い鮮やかな指標である必要はありません。目的達成状況のある側面を反映する指標がいくつかあれば十分です。指標を設定することが目的ではなく、指標を通して目的が達成されているかどうかについて考察する契機になるようなものであればよいのです。洞察力があれば、定めた管理項目・管理指標の値の背景で何が起きているのか分析できるようになります。

私たちは数値にはからきし弱いですが、数値なんてものは、何かの思惑で適当に決めた特性について、適当に測定して得られたもので、その信頼性などたかが知れていると冷静に構えていた方がよいでしょう。格好良い指標の名称や、得られた数値に過度な期待をしていると裏切られるのが落ちです。例えば、○○件数とか言っても、全貌が正確に把握されているかどうか疑問です。管理項目・管理指標は重要ですが、それさえあればきちんとした管理ができるとか、それがなければ管理できないとかいうものではありません。信じない・使わないというのではなく、設定した特性で実態をどこまで把握できるかについて冷静に判断していて、その項目を用いて管理するときには賢く振る舞いたいものです。

管理項目の設定に際して、業務の種類によっては、これとは別の難しさもあります。それは、その仕事の成果は誰によるものか、という視点です。例えば、安全管理室の業務を取り上げてみましょう。業務分掌としては、組織全体としての安全を実現するための支援、組織横断活動の促進、枠組み構築・改善、さらには事故報告、ヒヤリハット報告の処理の事務局、何か事件が起きた場合の対応などが規定されるでしょう。こうした業務の目的達成度合いを測る尺度として、事故件数を設定するかもしれません。しかし、よく考えてみて下さい。この件数が減少したとして、それは組織を挙げた活動の総合的な成果であって、安全管理室の寄与は一部でしかありません。

安全管理、品質管理、原価管理、在庫管理など、一般に○○管理といわれる業務は、こうした側面について、良い状況にするための基盤構築、促進、支援が仕事で、こうした業務を「主管業務」ということがあります。主管業務の出来映えを測るには、基盤構築、促進、支援の質を測るべきであって、安全、品質、原価、在庫などのレベルを測る総合指標だけでは不十分です。「それはあなたの部門の貢献ではなく全社の貢献だ。あなたの部門が真っ当に活動しているかどうかをどう把握しているか示してほしい」なんて難しいお題を出されてしまいます。支援の質を測るとすると、支援依頼に対して応えることができた比率、そのレベル、依頼者の満足度、迅速さなどを反映する尺度を考えます。そしてこれらとともに事故件数などの総合尺度も設定します。組織全体の活動レベルを反映する良い尺度であるし、それは見方によっては主管業務の総合的な効果だからです。

3. プロセスの概念

業務機能展開によって明らかになった、ある大きさのまとまった業務の管理のために、「プロセスの概念」が有用です。要は、望ましい結果を得るために要因系に着目するという原則に従い、望みの結果が得られるように業務プロセスを運営するという考え方です。具体的には、結果とプロセス要因との関係を知り要因を管理することと、プロセスの中間結果を適宜確認して必要に応じて修正するという方法を取ります。

プロセスの大きさはいろいろで、適度に分解する必要があることを考慮すると、プロセスの管理として、次の2つのことを考えておく必要がありそうです。

①ユニットプロセスの管理
②プロセスネットワーク管理

3.1 ユニットプロセスの管理

①は、業務というものを、インプットをアウトプットに変換するプロセスと見なして管理することで、ある単一業務・要素作業を、インプットを受けて所望のアウトプットを出す活動ととらえるということです。

図表3をご覧下さい。この図を構成している要素について説明しておきます。管理の対象として何を考えるかについての再確認となります。



• インプット: プロセスに入力され出力に変換されるモノ、情報、状態
→モノ(原材料、部品、補助材、処理対象など)、情報(指示、入力情報、参考情報など)、状態(活動前の対象の初期状態)
• アウトプット: プロセスのインプットが変換されて出力されるモノ、情報、状態
→モノ(製品、半製品、部品など)、情報(出力情報、知識、分析結果、知見など)、状態(最終状態)
• 活動: インプットからアウトプットを得るために必要な諸活動
→実施事項、手順、方法、条件
• リソース: プロセスの活動を支え、また投入される広義の経営資源
→人材、供給者・パートナー、知識・技術、設備・機器、施設、作業・業務環境、ユーティリティ(電気、ガス、水など)、支援プロセス、支援システム、インフラなど
• 測定・管理: プロセスの目的達成、活動状況を把握し管理するための測定・管理項目・管理指標、統制・介入、管理、責任・権限、役割分担など
→アウトプット特性、プロセス活動状況、プロセス条件特性など

ある活動をプロセスととらえるとは、目的(アウトプット)を得るために、何を受け取り(インプット)、どのような資源を使い(リソース)、どのような活動をするか(活動)、またその間どのような状況把握や介入をするか(測定・管理)を明らかにすることだ、ということです。

図表3(プロセスの概念)では、これらの関係に加え、インプット、リソース、アウトプットの確認も必要であるとしています。

3.2 プロセスネットワークの管理

対象にしている業務がある程度大きいとき、インプットをアウトプットに変換するには一連の活動が必要になります。それら一連の活動は、ユニットプロセスの連結と考えることができます。どのようなユニットプロセスが必要になり、それらをどのような順序で、どのように連結してアウトプットを得るかを考察することが、プロセスの概念の第二の意味である「プロセスネットワーク」の管理です。

プロセスネットワークという考え方は、ある程度大きくまとまった業務がどのような小さな活動の連鎖で成り立つかの考察に役立つばかりでなく、これら小さな活動の間の関係の把握にも有効です。あるユニットプロセスのアウトプットが他のユニットプロセスのインプットになるという関係は容易に理解できます。上記の一連のプロセスがまさにその例です。他には、あるユニットプロセスのアウトプットが、他のユニットプロセスの「リソース」になることがあります。例えば、検査工程において必要となる、検査担当者、検査技術・技能、検査機器・冶具、検査場所などの「リソース」を準備するプロセスが、実は存在しています。検査担当者のスキル向上プロセス、検査技術開発プロセス、検査機器・冶具の準備プロセス、検査場所の環境維持プロセスなどです。

プロセスネットワークには、こうしたユニットプロセス間の関係のみならず、プロセスの流れの構造も表現されます。例えば、検査場所の環境維持の一部は、上記の検査プロセスと並行して行われます。上記の例には含まれていませんが、状況に応じて次に実施することが異なる(分岐)ことや、必要に応じて何回か繰り返す(反復)ことがあるかもしれません。こうした仕事の流れの構造を理解することも業務の設計には重要なことです。

さらに、これら業務の流れにおいて、担当部門・担当者、管理の責任・権限などを決めることも重要であり、プロセスネットワークの図を、縦軸を業務の流れ(フェーズ)、横軸を担当部門として描くこともあります。この図によって、ある比較的大きな固まりの業務を実施するために、どのような順序・構造で、どのような活動が必要であり、それぞれをどの部門が担当するかを表現することができます。

問題

[1] あなたの部門の業務について、業務分掌を読み解き、業務機能展開をし、管理項目を検討してみて下さい。

[2] あなた自身の業務について、業務機能展開、管理項目の再検討をしてみて下さい。

[3] あなたの組織の主管業務(例えば、品質管理、原価管理、生産管理、安全管理)を担当する部門の管理項目としてどのような指標が設定されているか確認してみて下さい。それらの指標で、本当に主管業務の質が計れるか検討してみて下さい。

[4] あなたの担当業務について、そのプロセス要素(インプット、アウトプット、活動、リソース、測定・管理)を列挙してみて下さい。