BSIが監査員資格の登録サービスを開始


BSIジャパンは2021年夏から、BSI監査員資格の登録サービスをスタートさせました。このサービスは、BSIが提供する所定の研修を修了し試験に合格した人に監査員資格を付与するもので、資格レベルは「プラクティショナー」「プロフェッショナル」「認証プロフェッショナル」の3段階が設定され、それぞれに内部監査員資格と主任審査員資格とがあります。この監査員登録サービスをスタートさせた理由、資格内容と資格取得のメリット、資格取得に必要な研修内容などについて、BSIジャパン教育事業部の多賀谷洋子氏から話を聞きました。本稿はアイソス2022年5月号に掲載された記事を一部改訂して掲載しています。


資格取得の条件は研修受講と試験合格



−BSI監査員資格登録のサービスを始められた理由は何ですか。

BSIではこれまで、監査に関する研修を実施してまいりましたが、研修を受けた方が該当する監査技術を身に付けていることを証明するといったような制度はありませんでした。そこで、その証明を行うツールとして、BSI監査員資格の登録サービスを去年の夏から提供し始め、すでに資格を取っていらっしゃる方もいますが、本格的な展開は今年の4月からスタートする予定です。BSI資格を取るためには、BSIが提供する所定の研修を受講し、試験に合格していただくことが条件になります。現在、研修・試験については一部を除きオンラインで実施しています。

−資格を取るメリットについては。

BSI監査員資格は、規格要求事項への深い知識と監査を実施する上で必要となる監査員の力量を備えていることを証明するものです。また、この資格保有者は、組織の持続可能性を引き出すなど、事業の優位性を高めることにも貢献すると考えています。資格対象者としては、認証組織の事務局、内部監査員、審査員、システム構築・運用責任者、コンサルタントなどを想定しています。

−BSI監査員資格の対象規格は。

現時点では、ISO 9001(品質)、14001(環境)、13485(医療機器)、22301(事業継続)、45001(労働安全衛生)、ISO/IEC 27001(情報セキュリティ)といったラインナップです。ただし、ISO 45001の主任審査員資格については、英語による研修・試験でのご用意となります。

−監査員資格は力量別にどんな種類があるのですか。

資格は3つのレベルに分かれています。まず「プラクティショナー」は、規格要求事項を理解し、監査の基本的な知識や監査を効果的に実施するスキルを持っていることを証明する資格です。この資格を取得するためには、BSIが提供する「要求事項研修」と「内部監査員研修」あるいは「主任審査員研修」を修了し、試験に合格いただくことが必要です。(図表1)



続いて、「プロフェッショナル」というのは、さらにプラスして、プロセス改善のツールと技法を理解し、改善の提案ができる知識とスキルを持っていることを証明する資格です。この資格を取得するためには、BSIが提供する「プロセス改善入門研修」と「プロセス改善監査員養成研修」を修了し、試験に合格していただくことが必要です。

さらに上の段階である「認証プロフェッショナル」というのは、実際の監査で使用できるレベルの改善提案の知識とスキルを持っていることを証明する資格です。この資格を取得するためには、これまでの研修に加え、過去3年以内に実施した3件の内部監査の実績などをご提供いただくことが必要です。

ただ、現時点では「プラクティショナー」資格を取得するための研修・試験は提供できていますが、それより上のレベルについては今後ご用意していくことになります。



「プラクティショナー」「プロフェッショナル」資格は登録無料で更新不要



−監査資格は内部監査員と主任審査員とに分かれているのですね。

内部監査員と主任審査員とに資格が分かれ、それぞれ「プラクティショナー」「プロフェッショナル」「認証プロフェッショナル」の3レベルがあり、「プラクティショナー」「プロフェッショナル」については所定の研修を受講し試験に合格していただければ、資格を取得することができます。ただ、「認証プロフェッショナル」については、前述しましたように研修のほかに監査実績などが必要になります。

−資格登録の特徴は。

「プラクティショナー」と「プロフェッショナル」の資格については、登録費用は無料です。また、有効期限もありません。つまり、資格を登録・更新するための費用が不要なわけです(図表2)。一方「認証プロフェッショナル」の資格については、申請・更新の費用が必要ですし、監査実績、上長からの監査フィードバック、更新にはCPD実績などが必要になります(図表3)。



資格を取得された方には、「BSI資格マーク」とBSI資格マークの付いた資格証明書をお渡しします。このBSI資格マークは、名刺に記載したり、SNS等に掲示したりしてアピールすることができます。また、この資格はBSIがグローバルに提供しているものなので、資格証明書は英語で発行され、グローバル資格保有者の証明としてご活用いただけます。

−資格取得に必要な研修の特徴について説明してください。

まず「要求事項研修」については、名前の通り、規格の要求事項に関してきちんと解説をして、受講者にご理解いただけるような内容になっていますが、BSI審査員の講師が、規格の解釈で誤解されやすいところを補足説明します。これは研修を提供しているのが認証機関であることの強みではないかと考えています。この特徴については、「内部監査員研修」でも「主任審査員研修」でも同様のことが言えると思います。弊社の研修では、内部監査の事例、審査での事例を踏まえながら、「こういった場面に遭遇したときはこのような解釈で」といったこともきちんと説明しています。

プロセス改善については「入門研修」と「監査員養成研修」があります。「入門研修」では、業務を改善する上での基本的なツールを解説します。「監査員養成研修」では、入門研修で学習したツールを活用して、実際にどのように改善していけばよいのかを、ケーススタディを踏まえながら学習していただきます。

いずれの研修も最後には修了試験があります。資格付与を担保している研修ですので、研修内容に準じた、相応の難易度になっています。研修期間は、「要求事項研修」が1日、「内部監査員研修」が2日間、「主任審査員研修」が5日間、プロセス改善の「入門研修」が1日、「監査員養成研修」が2日間となっています。

−監査員資格サービスについて、今後拡充するところがあれば。

BSI監査員資格の対象規格について、先ほどご紹介した内容に加え、ISO 20000(ITサービス)、ISO 22000(食品安全)、ISO 50001(エネルギー)といった分野についても検討を始めているところです。また、今後BSI監査員資格の取得者が増えていくと思いますので、そういった方々に向けたコミュニティを開設し監査員に関する新しい情報を優先的にご案内できるような仕組みができればと考えています。
(取材日:2022年3月9日)




取材先: 多賀谷洋子

BSIグループジャパン株式会社 教育事業部